台湾の中国語(台湾華語)について知っておくべきこと

台湾の中国語(台湾華語)について知っておくべきこと

台湾の中国語(台湾華語)と標準的な中国語に違いはありますか?

一言で言えば – 違いはあります! すべての言語はそれぞれの地域ごとに少しずつ異なります。 その要因は様々で、地形、天気、文化、歴史、政策、世代、社会構成などが影響し合っています。 中国語は話される地域によって単語、声調、書き方などに違いが出る傾向があります。

台湾人は普通語を話すの?

台湾の中国語を学ぶ面白さ

台湾人の中国語―発音

台湾人の中国語―文法

台湾人の中国語―語彙

台湾人の中国語―経験談

台湾人の中国語―質問?

台湾人は標準的な中国語と異なる中国語を話すの?

台湾では何語が話されているの?

台湾では伝統的な中国語表記(繁体字)が使われることに加えて、中国本土の中国語と台湾の中国語にはいくつかの違いがあります。

多くの人は中国本土が唯一中国語を学べる場所だと思っていますが、実際は台湾で中国語を学ぶこともできます。

これは英語をイギリスで学ぶか、アメリカで学ぶか、オーストラリアで学ぶか、といった違いに似ています。またはスペインのスペイン語とラテンアメリカのスペイン語のような違いとも理解できます。

台湾の中国語を学ぶ面白さ

さらに言えば、台湾のドラマや番組は近年中国本土でどんどん人気が出ており、多くの台湾人アーティストが積極的に中国のテレビ番組で活躍しています。

そのため、中国の若い世代にとって、台湾人の中国語の話し方を知っていることや、真似することがひとつのトレンドにもなっているのです。

台湾人の中国語と中国本土の中国語との違いとは?

LTLで中国語を教える台湾生まれのTeresa Laiは、たくさんの中国語の生徒に「私の話し方は台湾人の発音に聞こえる?」「あなたみたいに台湾人の中国語っぽく話せるように勉強してるの!」などと言われるまで、違いを意識したことはなかったと言います。

中には、台湾訛りの中国語を身につけるために、わざわざ台湾に来る外国人もいます。 台湾人と話すときに、本土の中国語を話すと感心されることもあります。

しかし、中国語を台湾人のように話すと更に驚かれ、相手との間が急激に縮まります。

台湾人の中国語 – 発音

多くの中国人は、台湾人が話す中国語のアクセントはとても聞き取りやすく、柔らかく聞こえると言います。

zh, ch, sh, r を弱く発音する

台湾人の発音の特徴1: 子音を弱く発音する

普通語では子音zhchsh,rは反転音であり、中国語学習者にとって難しい発音です。

これらを発音するには、意図的に舌の先の裏を口蓋に当てる必要があります。 舌先が口蓋を離れる時に空気の流れが非常に狭いスペースを通り抜けることによって、zhchの破裂音を出すことができます。

しかし、舌先が口蓋を離れずに、空気の流れが直接硬口蓋と口蓋を抜けると、shrといった摩擦音になります。

中国語ではなく台湾語には、このような反転音を出す子音はありません。そのため台湾人が中国語を話す時には、台湾語の影響で舌をあまり高く上げないため軟らかい発音になるのです。 舌を挙げる高さで反転音を評価するとしたら、普通語は評価10で、台湾人の中国語は評価6か7といったところです。 しかし、だからといってこれらの子音が反転音でないということではありません。発音するのにそれほど力む必要がなく、柔らか目に聞こえるということです。

uを入れ込む

台湾人と話している時に注意深く聞いてみると、子音と母音oまたはengの間に母音uが挟み込まれていることに気が付くでしょう。

例えば台湾人は次のように発音します。

  • 魔法 mófǎ (魔法)を muófǎ
  • 老婆 lǎopó (妻) を lǎopuó
  • 玻璃 bōlí (ガラス) を buōlí
  • 颱風 táifēng (台風) を táifōng
  • 聯盟 liánméng (同盟) を liánmóng

engをenに言い換える

台湾人の発音の特徴3: engをenに言い換える
台湾人の発音の特徴3: engをenに言い換える

台湾人の中国語の他の分かりやすい特徴は、舌の付け根で発音する鼻音engを、舌先で発音する鼻音enで発音するということです。

これも発音を弱める発音の仕方で、柔らかく聞こえます。 例えば台湾人は次のように発音します。

  • 心情 xīnqíng (ムード) を xīnqín
  • 蜻蜓 qīngtíng (とんぼ) を qīntín
  • 應該 yīnggāi (当然) を yīngāi
  • 聖誕節 shèngdàn jié (クリスマス) を shèndàn jié
  • 名字 míngzì (名前) を mínzì

台湾人の中国語 – 文法

台湾語の影響は発音だけに現れるわけではありません。文法や文章構造にも影響があります。

台湾人の話す中国語における最も典型的な文章のパターンを見てみましょう。

「有」字句

有+V/SV は台湾人の中国語に特徴的な文法
有+V/SV は台湾人の中国語に特徴的な文法

有 yǒu は普通語においては「所有」の意味のみで使われます。 そのため、有 yǒu は名詞の前に来るのが通常の使われ方です。例えば、

我有一隻狗。Wǒ yǒu yì zhī gǒu. (犬を持っています)   他的朋友有三百元。Tā de péngyǒu yǒu sānbǎi yuan. (彼の友達は300ドル持っています)   你有機會在這間公司工作。 Nǐ yǒu jīhuì zài zhè jiān gōngsī gōngzuò. (この会社で働ける可能性があります)   我對你有信心。Wǒ duì nǐ yǒu xìnxīn. (あなたを信じています)

しかし、台湾語の影響を受けた中国語では、人々は有 yǒuをすでに行われたことや、感情を表すのに使用します。 この場合、有 yǒuは動詞や状態動詞の前に使われます。例えば、

你有聽到聲音嗎? Nǐ yǒu tīngdào shēngyīn ma? (音聞こえた?)   她有生氣嗎? Tā yǒu shēngqì ma? (彼女怒ってた?)   你妹妹有吃飯嗎? Nǐ mèimei yǒu chīfàn ma? (妹はもう食べたの?)   他有沒有去過那家餐廳? Tā yǒu méiyǒu qùguò nà jiā cāntīng? (彼はそのレストランに行ったことがあるの?)   你有沒有想念我? Nǐ yǒu méiyǒu xiǎngniàn wǒ? (私に会いたかった?)

有+動詞/ 状態動詞は普通語においては誤った文法です。先生は学校では使わないように指摘します。しかし実際には、気が付かないうちにみんなが使っていて、いつでもどこでも耳にする使い方です。

中国語の教師の中には、この文法を認めるように主張する者もいるので、いつの日か正しい文法と認められることがあるかも知れません。

台湾人の中国語 – 語彙

普通語と台湾語の混合は台湾においてはよくある現象です。しかし、台北に住んでいる限りはそう感じないと思います。

台北の外に住んでいる場合や、他の街に遊びに行った場合には、よく実感できることでしょう。更に、南に行けば行くほど、台湾語をよく耳にする傾向があります。

 台湾語に影響を受けた中国語の単語はたくさんあります
台湾語に影響を受けた中国語の単語はたくさんあります

台湾人の話す中国語にだけ見られる多くの言葉や単語は、直接台湾語から借りられていたり、翻訳されたりされたものなのです。

例えば台湾人は祖父母のことを、阿公 agōng (祖父) と 阿嬤 amà (祖母) と呼びます。普通語では 爺爺 yéye と 奶奶 nǎinaiです。

一台車 yì tái chē (車) や 一台電腦 yì tái diànnǎo (コンピュータ) という言葉を耳にするかも知れません。普通語では、一部車 yí bù chē と 一輛車 yí liàng chēです。

台湾語では、車や機械の数量詞はtâi’のなので、一部電腦 yí bù diànnǎoになります。 中国では人々は「どういたしまして」「問題ありません」を、不客氣 bú kèqì や 沒事 méishì と言います。 台湾では、不客氣の他に、不會 búhuìと言う言葉をよく聞くと思います。これは台湾語で不會を意味し、誰かに感謝の意を示すbēとbōeの翻訳で、「不可能」や「~しない」という意味です。

台湾人の中国語 – 経験談

台湾の中国語 – 経験談
台湾の中国語 – 経験談

人々がどのようにアクセントや話し方を識別しているのかの例を紹介したいと思います。

台湾生まれのTeresa Laiは幼いころ、幼稚園に行かずに母親から教育を受けました。 彼女は母親と教本から発音を学びました。後に小学校に入学した時にはじめて、自分が他の子どもとは違う中国語を話していることに気が付いたのです。

みんなは彼女が中国生まれだとは思っていましたが、だんだんと台湾訛りの中国語に気が付き、無意識に他の子どもが話すような中国語の発音をするようになりました。 何年も後になってヨーロッパの大学院に進学し、ある日中国人のクラスメイトに「謝謝 (ありがとう) 」と言われた時、彼女は「不會」と答えました。

クラスメイトはそこで初めて彼女が台湾出身だということに気が付き、とても驚いたのでした。

まとめ

中国本土の中国語が優れていて、台湾の中国語が劣っている、というわけではありません。ただ、言葉のバリエーションが異なるというだけです。

台湾で普通語を学べないのではないか、と心配する必要はありません。 バルセロナでスペイン語を学ぶことを考えてみてください。多くの現地の人はカタルーニャ語を話すので、初めは混乱することも多いようです。

しかし、バルセロナに住むのであれば、スペイン語を学ぶだけではなく、日常生活においてカタルーニャ語も自然と必要になってきます。

台湾での普通語も同じようなものです。

新しい言語を学ぶことは新しい命を得るようなものです。台湾で中国語を学べば、一石二鳥!まだ不安や質問がある場合にはお気軽にお問い合わせください。

上海の中国語に関しては、下記のブログをご覧ください。

台湾華語 FAQ’s

台湾では何語が使用されているの?

台湾では伝統的な中国語表記(繁体字)が使われています。

台湾の中国語(台湾華語)と標準的な中国語は同じなの?

違いはあります! すべての言語はそれぞれの地域ごとに少しずつ異なります。

台湾華語の発音はどう違うの?

多くの中国人は、台湾人が話す中国語のアクセントはとても聞き取りやすく、柔らかく聞こえると言います。台湾華語ではzh, ch, sh, r を弱く発音します。

台湾人と話している時に注意深く聞いてみると、子音と母音oまたはengの間に母音uが挟み込まれていることに気が付くでしょう。

台湾人の中国語の他の分かりやすい特徴は、舌の付け根で発音する鼻音engを、舌先で発音する鼻音enで発音するということです。

文法や文章構造も少し異なってきます。

例えば、有 yǒu は普通語においては「所有」の意味のみで使われます。 しかし、台湾語の影響を受けた中国語では、人々は有 yǒuをすでに行われたことや、感情を表すのに使用します。

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